vnsh - 03

光は闇の中にあるものを見えるようにするが、同時に何かを見えなくもしている。昼間の日差しを反射する川の中は見えない。晴れの日よりも曇りの日の方が視界がクリアになる。雷がフラッシュした瞬間、辺りは白い闇に包まれる。光によって見えてくるものがある一方で、気づかれぬまま視界から消えているものがある。
 
しかし人は現象や自然物に用途や意味を見出し、この世界を分節している。光という存在に人は希望、安全を感じ、闇の中で手元を「照らす」道具として光を用いてきた。
 
<vnsh>は、生活者をそうした分節された認識世界の外に連れ出す。φ5mmのアルミパイプにいれたスリットから光が漏れ、壁を照らす。細さゆえに自らも光の中に消えかかる<vnsh>を見つめるとき、光は照明器具に対する認識を超えて感覚に語りかける。